僕は工作が大好きで、補修屋のお仕事でも、いろいろ工具を自作しています。
上の写真は、石材の溝を一定の深さに削るために作った、グラインダーの治具の試作品。
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作る人日記
‥とある公共施設の石の壁。
横の繋ぎ目が、少し凹んでいるデザインです。
その壁面の完成後に、「1個1個の、溝の深さが違うのが気になる!」 ‥と、一人の監督さんが指摘して、急遽、僕が呼ばれた次第。
石屋さんも治具を使って溝加工しているのですが、大陸から取り寄せた石材の厚みがマチマチなので、溝の深さが揃わなかった。‥というのがバラつきの原因のようです。
なので、表面側から同じ深さに溝を再加工できるように、グラインダーを加工して治具を作ってみました。
題して「
石材をホルンダー ゼロ号」。 ( 試作品。 成功したら、より高強度の1号を制作予定)
▲
左:溝以外を削らないためのストッパー。 / 右:角度調整機構。 これで刃の深さを変えられます。
予備試験でOKとなったら、現場に持ち込み、実際の壁面でテスト施工。
一応、思った通りに溝の深さは揃えられました。
▲実際のテスト施工の様子。 現場照明の水銀灯のせいで、緑にかぶっています。
が、しかし。 この工具はボツになりました‥ orz。
補修は無し。 現状でOKを出すとの事。
どうやら「段差はそんなに、気にならない」という、周囲の別の監督たちの意見が強かったようです。
工期の問題も、現実的な話。 (もしや? 石材をホルンダー ゼロの、チープさも原因かw )
まっ、いっか。 ていうか、正直、ちょっとホッとしました。
というのも実は、刃が細いので、一箇所に何往復も必要で時間がかかる問題。 そして万が一、振動で手が滑った時に石材を傷つけてしまう危険への、対策が出来なかったんですよ。
ちょっとした範囲だったら大丈夫だけど、今回はあまりに大面積。
工具を量産して、応援の職人に持たせる事を考えてましたが、失敗のリスクが高すぎます。
石の補修は得意だけど、修理の厄介な石種も有るわけで。
(今回は山西黒の代用の、ツヤが揃わない石‥)
頼まれたら無理難題も、できるだけ受けてるけど、
なおしたい気持ち だけじゃ、仕事はやっていけない。 お客さんに迷惑を掛けないよう、結果やリスクを考えた危機管理も大切。
もしかして自分、仕事と趣味の境界が曖昧になっているのでは‥?
そんな事を考えつつ、ボツになった工具を眺め‥。
これもまた、ひとつの教訓と心に刻んだ一件でした。
PS:どうでもいいけど、ネーミングのセンス古っw‥。